ゾウクラゲは、クラゲじゃない?

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 海の生き物には、クラゲのように、ふわふわと漂うものが、たくさんいます。今回は、その中の一グループを取り上げましょう。ゾウクラゲです。
 ゾウクラゲと言われて、どんな生き物なのか、思い浮かぶ方は、少ないでしょうね。透明で、柔らかく、骨を持たない生き物です。大型の個体ですと、40cmを越えるものもいます。が、普通は、20cmにもなりません。海中を、漂うように泳ぎます。
 ゾウクラゲの形は、説明するのが難しいですね。魚の頭と骨を取り去って、透明にした感じ、といえるでしょうか。体には、尾びれや、胸びれのようなものがあります。
 印象としては、たしかに、クラゲに近いです。けれども、ゾウクラゲは、クラゲの仲間―刺胞【しほう】動物―ではありません。クシクラゲの仲間―有櫛【ゆうしつ】動物―でもありません。では、いったい、何の仲間でしょうか?
 なんと、彼らは、巻貝の仲間です。サザエやタニシの仲間ですね。専門的に言えば、軟体動物です。よく見ると、小さな殻を持つ種もあります。でも、殻の中に、体を全部引っ込めることは、できません。殻に隠れるより、泳ぐほうに特化しています。
 ハダカゾウクラゲのように、殻を退化させて、完全になくした種もいます。泳ぎを重視するなら、殻は邪魔なだけですからね。同じような進化を遂げたものとして、ハダカカメガイがいます。ハダカカメガイとは、クリオネの正式名称(標準和名)です。
 クリオネ(ハダカカメガイ)と、ゾウクラゲとは、同じ巻貝の仲間です。どちらも、とても貝には見えませんね。両者は、巻貝の中では、さほど近縁ではありません。
 ゾウクラゲという名は、どこから付いたのでしょうか? 彼らの口が、長く伸びて、ゾウの鼻のようになっているからです。この口先には、歯舌【しぜつ】と呼ばれる器官があります。固い歯に当たる器官です。これを使って、小さな甲殻類などを食べます。
 歯舌は、ほとんどの巻貝が持つ器官です。これのために、殻のないハダカゾウクラゲでも、巻貝の仲間だとわかります。でなければ、きっと、分類に苦労したでしょう。ゾウクラゲのように、固い部分が少ない生き物は、分類の手がかりが少なく、難しいのです。
過去の記事でも、ゾウクラゲのように、殻を持たない貝の仲間を取り上げています。また、普通に殻を持つ巻貝も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒトデを泣かせる貝がいる?(2012/02/13)
ウミウシは、海のナメクジか?(2011/01/14)
所属はどこですか? カサガイたち(2010/04/19)
ウミウシは何の仲間?(2008/12/29)
ハダカカメガイ(クリオネ)は流氷の天使か?(2006/01/09)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2013年1月 7日 07:44に書いたブログ記事です。

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