ボケ 画像
和名:ボケ
学名:Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai
東京 新宿【2013.02.11】
図鑑には、ボケが掲載されています。ぜひご利用下さい。
2013年2月アーカイブ
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フクジュソウ 画像
和名:フクジュソウ
学名:Adonis ramosa Franch.
東京 新宿【2013.02.11】
図鑑には、フクジュソウが掲載されています。ぜひご利用下さい。
以前、このブログで、「日本は『サンショウウオ王国』だ」という話をしましたね(日本のサンショウウオに、変動あり(2010/10/04))。国土が狭いのに、二十種以上の固有種がいるからです。なぜ、日本は、サンショウウオ王国になったのでしょうか?
それには、二つの理由が考えられます。一つは、日本が島国だからです。もう一つは、日本が山国でもあるからです。まず、島のほうから、説明しましょう。
両生類に限らず、島には、陸上生物の固有種が生まれやすいです。陸上生物にとって、島は、隔離された環境だからです。他の地域の生物と、交流がありません。このため、島では、独自の進化が進みやすいです。そして、固有種が生まれます。
日本国内だけで見ても、「島に固有種が生まれやすい」ことが、見て取れます。オキサンショウウオや、ツシマサンショウウオの例があります。
オキサンショウウオは、世界中で、日本の隠岐【おき】諸島にしか、分布しません。ツシマサンショウウオは、同じく、対馬【つしま】にしか分布しません。どちらの種も、日本という小さな島国の、さらに小さな島に隔離されて、生まれました。
もう一つの理由、山国であることも、説明しましょう。
隠岐や対馬に比べれば、本州は、ずっと広いですね。地続きで、どこまでも分布を広げられそうです。ところが、サンショウウオには、限られた地域にしか、分布していない種が多いです。ハクバサンショウウオ、ホクリクサンショウウオなどが、そうです。
これは、両生類が、水場から離れられないためです。特に、サンショウウオの仲間は、カエルと違って、跳ねることもできません。行動範囲が狭くなるわけです。
例えば、ある渓谷の沢に、サンショウウオがいるとしましょう。彼らにとって、尾根を一つ越えて、隣の沢に行くことさえ、大冒険です。
このように、移動能力が低ければ、山は、大きな障壁になります。山によって、それぞれの地域の個体群が、隔離されます。こうなれば、島と同じ現象が起こります。
サンショウウオ王国が成立したのは、海と山とで、二重に隔離されたためでした。
図鑑には、ハクバサンショウウオ、ホクリクサンショウウオ、オオサンショウウオなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、日本のサンショウウオの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
日本のサンショウウオに、変動あり(2010/10/04)
サンショウウオのおたまじゃくしとは?(2010/05/10)
イモリとサンショウウオとは、どう違う?(2009/04/20)
サンショウウオが産卵するのは、流水? 止水?(2009/03/06)
今が見ごろ? 日本の山椒魚【さんしょううお】たち(2008/03/17)
などです。
ロウバイ 画像
和名:ロウバイ
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link
東京 新宿【2013.02.11】
図鑑には、ロウバイが掲載されています。ぜひご利用下さい。
冬は、落葉している木が多いですね。枯れ木ばかりのように見えます。そういう中では、果実を付けている木が、目立ちますね。イイギリ(飯桐)は、そんな木の一種です。
イイギリは、秋から冬にかけて、赤い果実を付けます。冬晴れの空に、真っ赤なイイギリの果実は、よく映えます。このために、観賞用として、庭や公園に植えられます。野生では、日本の東北地方以南に、分布します。
イイギリの果実の色は、品種改良の結果ではありません。もともと、美しい赤です。ヒトが作ったのでないなら、なぜ、イイギリの果実は、こんな鮮やかな色なのでしょうか?
これは、鳥を呼び寄せるためだろうと考えられています。鳥は、視覚がよく発達した生き物で、赤い色に強く反応します。ですから、鳥に来て欲しい植物は、花や果実を、赤くすることが多いです。果実の場合、鳥に食べて欲しいものが、赤くなります。
鳥に食べられたい果実とは、鳥に、種子をまき散らす役割を、期待するものです。鳥が果実を食べて、種子入りの糞をすれば、どこかに種子をまいたことになりますね。
ところが、イイギリの果実を観察すると、矛盾したことに気づきます。冬の終わりになっても、いつまでも、果実が残っている場合が、けっこうあります。
これは、鳥が食べていない証拠ですね。派手な色での宣伝効果が、ないことになります。なぜ、こんなことになるのでしょうか?
よく観察すると、同じイイギリでも、すぐに果実が食べ尽くされる木と、そうでない木とがあります。これは、イイギリに限りません。別種の木、例えば、ズミやマユミでも、そのような傾向があります。ズミもマユミも、秋から冬に、赤い果実を付ける木です。
どうやら、同種の木の中でも、美味しい果実がみのる木と、そうでない木とがあるらしいです。この場合の「美味しい」は、「鳥にとって、美味しい」という意味です。鳥は、ヒトとはまったく味覚が違いますから、ヒトの味覚では、計れません。
なぜ、同種の中で、こんな差があるのでしょうか? これについては、わかっていません。身近な公園の木にも、こんな謎があるんですね。
図鑑には、イイギリが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、冬に赤い果実を付ける木を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ピラカンサとは、植物の種名か?(2011/12/30)
鳥をだます? マユミやニシキギ(2010/12/06)
薬にも害にも、メギ(目木)(2010/10/25)
ナンテンの赤い実は、鳥のため?(2010/01/15)
生垣のスター、サンゴジュ(珊瑚樹)(2009/10/12)
などです。
ソシンロウバイ 画像
和名:ロウバイ【ソシンロウバイは、ロウバイの栽培品種】
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link
東京 新宿【2013.02.11】
図鑑には、ロウバイが掲載されています。ぜひご利用下さい。
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人間に飼われる鳥の中に、ガチョウと呼ばれる鳥がいますね。があがあ鳴く水鳥です。全身が白いことが多いです。アヒルと似ているために、混同されますが、アヒルとは別種です。アヒルより、ガチョウのほうが、大きいです。
ガチョウは、ガン(雁)を飼いならしたものです。アヒルは、カモ(鴨)―マガモ(真鴨)という種―を飼いならしたものです。元になった種が、違うのですね。
じつは、ガチョウの元になったガンには、複数の種がいます。つまり、同じガチョウといっても、その中には、複数の種が含まれます。
日本に古くからいたガチョウは、シナガチョウと呼ばれる種です。中国から伝わりました。サカツラガン(酒面雁)というガンの、飼養変種です。白いシナガチョウと、原種のサカツラガンに似た色のシナガチョウとがいます。
サカツラガンは、中国、朝鮮半島、日本などの東アジアに分布します。現在の日本では、とても数が少ないです。冬に、ごく少数が渡ってきます。
いっぽう、ヨーロッパでは、別種のガンが、ガチョウにされました。ハイイロガン(灰色雁)です。こちらのガチョウにも、白いものと、原種のハイイロガンに似た色のものがいます。ハイイロガンは、ユーラシア大陸全体に、広く分布します。
数あるガンのうちから、なぜ、サカツラガンやハイイロガンが選ばれて、飼養変種にされたのでしょうか? ハイイロガンについては、おそらく、この種が、ヨーロッパで最も平凡なガンだからだと考えられます。目につく、美味しい鳥だったのでしょう。
サカツラガンについては、理由が、よくわかっていません。東アジアのガンの中で、大型だからかも知れません。大きければ、肉がたくさん取れますよね。
ガンの仲間は、どの種も、肉が美味しいようです。そのために、世界各地で、飼いならす試みがされました。例えば、古代エジプトでは、エジプトガンという種を、ガチョウのように飼って、食用にしていました。
食べることは、命をいただくことです。心して、ありがたく、いただきましょう。
図鑑には、マガン,ヒシクイ,コクガンが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、ガンの仲間を取り上げています。また、ガンに近縁なカモの仲間も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
白いガンや黒いガンがいる?(2012/01/30)
魚か鳥か? シマアジ(2011/03/14)
シジュウカラガンとヒナの画像(2006/06/02)
カモは水に潜るか?(2006/11/27)
雁(ガン)の恩返し(2006/01/16)
などです。
リュウキュウキジバト 画像
和名:キジバト【リュウキュウキジバト】
学名:Streptopelia orientalis
沖縄 金武【2013.01.25】
図鑑には、キジバトが掲載されています。ぜひご利用下さい。
日本では、時おり、特定の健康食品が、急激にはやりますね。ココアや黄粉【きなこ】が、突然ブームになって、商店の棚から消えたこともありました。
先に書いておきましょう。「これさえ食べれば、健康でいられる」食品は、ありません。ヒトは、バランス良く、いろいろな物を食べないといけない生き物です。
聞いた話では、今から三十年以上前、ブームになった健康食品に、クコという植物があるそうです。中国原産の植物です。現在は、日本全国にも、野生化しています。
クコは、もともと、漢方薬に用いられる植物でした。現在も、クコの果実や根を、漢方薬にします。中国語名の「枸杞」を、日本語で音読みして、クコという名になりました。
現代日本で、なぜ、クコがブームになったのかは、わかりません。少なくとも、平安時代には、クコは、日本に伝わっていました。その頃から、薬効著しいという評判があったようです。時代が下って、江戸時代にも、クコの評判が高まったことがありました。
原産地の中国でも、クコの薬効は、誇張されて伝えられることがありました。昔の中国の伝説で、「クコの精霊が、イヌの姿で現われる」話があります。その精霊を見た人が、クコを食べると、不老長寿の仙人になった、というのです。
なぜ、植物の精霊が、イヌの姿で現われるのでしょう? これは、「枸杞」の名に関係があります。「枸」という漢字は、「狗」に似ますね。「狗」は、中国語で、「イヌ」の意味です。「枸」から「狗」が連想されて、生まれた伝説のようです。
このような話は、現代人には、本当のこととは思えませんね。幻想的すぎるからです。けれども、昔の人には、宣伝効果があったのかも知れません。
精霊や仙人を信じたからといって、昔の人を、現代人は、決して笑えないでしょう。私たちも、健康ブームに踊らされて、あやふやな情報を信じることがあるからです。先に書きましたとおり、万能の不老長寿食品は、存在しません。
ヒトの思惑とは関わりなく、クコは、昔も今も、黙って花を咲かせ、果実を付けます。赤くてかわいい果実は、観賞用にも、いいと思います。
図鑑には、クコが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、漢方薬に使われる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
いろいろと役立ちます、ガマ(蒲)(2012/08/24)
竜の胆【きも】が薬になる? リンドウ(2011/12/08)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/05/04)
代々の実が付くおめでたい果実、ダイダイ(2005/12/31)
などです。
寒い日が続きますね。こう寒いと、温泉に入って、温まりたくなります。うらやましいことに、一年じゅう、温泉に入っている生き物がいます。
普通、40℃ほどもあるお湯の中では、暮らせる生き物はいません。たとえ露天の温泉であっても、魚も貝も、水生昆虫も、見ませんよね。ところが、非常に珍しいことに、温泉の中で暮らす巻貝がいます。オンセンミズゴマツボという種です。
オンセンミズゴマツボは、世界中で、日本にしか分布しません。日本の中でも、大分県の湯布院【ゆふいん】温泉にしかいません。湯布院の生息地がなくなったら、この種が絶滅したことになります。昔は、同じ大分県の、他の温泉地にもいたそうです。
残念ながら、この種の分布域は、次第に狭くなっています。なぜでしょうか? 人間が、環境を改変したことが、主な原因だと考えられています。
この種が棲むのは、温泉が湧いている所です。ということは、人間が温泉を利用するために、開発しやすい所ですね。お湯を導くために、コンクリートの水路を作られたりしたら、オンセンミズゴマツボは、そこでは生きられないでしょう。
この種は、とても小さな巻貝です。貝殻の高さが、4mmほどしかありません。小さくても、貴重な種です。今のところ、世界で唯一の、温泉に棲む巻貝だからです。
なぜ、オンセンミズゴマツボは、温泉に棲むようになったのでしょうか? これについては、わかっていません。同じミズゴマツボ科に属する種(ミズゴマツボなど)は、普通の淡水や、汽水に棲みます。オンセンミズゴマツボも、元は、そうだったのでしょう。
温泉に棲むことには、利点と欠点とがあります。利点は、外敵や、競争相手が少ないことです。特殊な環境なので、棲める生き物が少ないのですね。
欠点は、高温に適応しなければならないことです。これが難しいために、温泉に棲む巻貝は、世界中で、オンセンミズゴマツボただ一種なのでしょう。
最近になって、地元の大分県で、オンセンミズゴマツボを保護する機運が、盛り上がってきました。貴重な貝は、地元の人たちの誇りになるものだと思います。
過去の記事でも、温泉に棲む(といわれる)生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
温泉に入る昆虫がいる?(2012/06/25)
謎多き魚、アカメ(2012/03/05)
白鳥(ハクチョウ)は冬の使者(2006/01/11)
ニホンザルは世界北限のサル(2005/11/14)
などです。
冬でも、草むらを歩くと、草の果実が、服に付いてくることがありますね。通称、「ひっつきむし」と呼ばれる植物です。今回は、そのような植物の一種を紹介しましょう。
ヤブタバコは、果実が、「ひっつきむし」になる草です。多くの「ひっつきむし」には、鉤【かぎ】状の突起がありますが、ヤブタバコの果実には、ありません。
ヤブタバコの果実は、鉤状の突起で引っかかるのではないからです。代わりに、粘液を出します。その粘りで、ヒトの服や、動物の毛にくっつきます。
草といっても、ヤブタバコは、けっこう大きくなります。時に、1m近くにもなります。暖かい地方では、冬でも枯れずに、緑の葉が残っています。
種名に「タバコ」が付くことからして、タバコの仲間だと思われるかも知れませんね。でも、ヤブタバコは、タバコとは遠縁です。キク科ヤブタバコ属(または、ガンクビソウ属)に属します。タバコのほうは、ナス科タバコ属の一種です。
遠縁なのに、タバコの名が付いたのは、葉の形が、タバコに似るからだといわれます。
ヤブタバコの分類については、ヤブタバコ属とされる場合と、ガンクビソウ属とされる場合とがあります。この二つは、呼び名が違うだけで、同じ分類グループです。このグループには、ヤブタバコ以外に、ガンクビソウ、オオガンクビソウなどが属します。
面白いことに、「ガンクビソウ」の名も、タバコに関係があります。ガンクビ(雁首)とは、キセル―タバコを吸う道具の一つ―の一部分を指します。花の付く様子が、それに似るために、ガンクビソウの名が付きました。
古来、ヤブタバコは、漢方薬に使われてきました。漢方では、全草を煎じて、解毒や止血などに用います。日本の民間療法でも、葉を絞った汁が、打ち身などに効くとされます。
「ひっつきむし」の果実も、厄介なだけではありません。果実は、腸内寄生虫の駆除薬になります(素人療法は、危険ですので、おやめ下さい)。
ヤブタバコと近縁なガンクビソウも、漢方薬に使われます。同じような薬効があるようです。近縁な種同士でも、似た薬効があることは、意外に珍しいです。
図鑑には、ヤブタバコ,ガンクビソウなどが掲載されています。
過去の記事でも、漢方薬に使われる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
いろいろと役立ちます、ガマ(蒲)(2012/08/24)
東アジアの花の王、ボタン(牡丹)(2012/04/20)
竜の胆【きも】が薬になる? リンドウ(2011/12/08)
謎の植物、茱萸【しゅゆ】とは?(2008/09/01)
茅の輪【ちのわ】くぐりの「茅」とは、どんな植物?(2007/06/29)
などです。
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冬には、ほとんど、昆虫の姿を見ませんね。おかげで、カ(蚊)に刺されることも、少ないです。でも、中には、「冬にカに刺された」方も、いらっしゃるでしょう。
これは、「地球温暖化の影響だ」と言われることがあります。本当に、そうでしょうか?
おそらく、地球温暖化とは、直接の関係は、ありません(地球温暖化が実在するかどうかの議論は、ここでは、置いておきます)。じつは、カの中には、冬でも活動するものがいるのです。日本では、チカイエカと呼ばれる亜種です。
いま、亜種と書きましたね。チカイエカは、アカイエカという種の中の亜種です。
アカイエカ(赤家蚊)は、日本では、最も平凡なカの一種です。日本全国に分布します。国外では、アジアの温帯域に、広く分布します。この種の中には、三つの亜種があることが知られます。アカイエカ、チカイエカ、ネッタイイエカの三亜種です。
普通、アカイエカという場合には、種アカイエカの中の、亜種アカイエカを指します。
亜種チカイエカの成虫の外見は、アカイエカにそっくりです。複眼の数や、卵塊【らんかい】の形など、細かいところが違います。普通の人には、区別が難しいですね。
最も大きな違いが、低温に強く、冬でも活動することです。冬に、日本の九州以北でカに刺されたら、チカイエカのしわざの可能性が高いです。
チカイエカは、日本では、昭和に入ってから発見されました。幼虫が、古井戸や、ビルの地下のたまり水などで発生します。そのため、「地下イエカ」と名づけられたのでしょう。
都市部ほど、チカイエカが多いといわれます。都市部には、ビルや地下鉄がありますね。そのような場所には、ヒトの目が届かない、小さな水たまりも、たくさんあります。チカイエカは、そこを利用しています。都市部に、よく適応した亜種ですね。
地球温暖化とは別に、都市部は、周囲に比べて気温が高いです。エアコンを動かすなどの、人間の活動のためです。冬でも暖かいことは、カにとって、都合がいいです。
チカイエカは、国外でも、ヨーロッパや西アジア、北米に、広く分布しています。世界の都市化が進んでいることからして、チカイエカは、ますます栄えそうです。
過去の記事でも、害虫と呼ばれる昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
眼も脚もない? カイガラムシの不思議(2011/07/25)
アブラムシの不思議な生態(2011/5/16)
冬越しは木の中で、カミキリムシたち(2011/02/07)
盗人呼ばわりは、濡れ衣? コクヌスト(2010/06/27)
クローン女王の攻撃? ヤマトシロアリ(2009/06/15)
などです。
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東京農業大学の「食と農」の博物館へ、行ってまいりました。現在、ここでは、「タロイモは語る」展が開かれています。
タロイモ(タロ芋)という名を、聞いたことがおありでしょうか? この名は、英語名のtaroに由来します。さらに語源をたどると、ポリネシア語に行き着きます。もともと、ポリネシアで、タロtaroと呼ばれていたのが、そのまま英語になりました。
タロイモは、日本人にも、馴染みのある植物です。じつは、タロイモとは、日本にもあるサトイモ(里芋)のことです。サトイモの別名が、タロイモです。
日本の野菜として呼ぶ場合には、普通、サトイモといいますね。世界的に栽培される植物として呼ぶ場合には、タロイモとすることが多いです。
サトイモは、ずっと昔から、日本の野菜の仲間入りをしています。けれども、日本固有の野菜ではありません。世界の広い地域で、栽培されています。ポリネシア語の名前があることから、ポリネシアでも栽培されていることが、わかりますね。
タロイモは、非常に古い時代から、人類に栽培され始めました。古すぎるために、起源地がどこなのか、わかっていません。現在は、アフリカ、東アジア、東南アジア、パプアニューギニア、インド、熱帯アメリカなど、たいへん広い地域で栽培されています。
栽培地の広さに応じて、品種も多いです。日本のサトイモにも、赤芽【あかめ】、土垂【どだれ】、八つ頭【やつがしら】などの品種がありますね。世界には、もっと多くの品種があります。品種により、イモの形や大きさは、さまざまです。
「食と農」の博物館では、タロイモの多様な品種の実物を、見ることができます。不思議なことに、株や葉の大きさは違うのに、葉の形は、みな似ています。大きなハート形ですね。日本の普通のサトイモと、同じです。
「タロイモは語る」の展示は、小さいものです。すぐに見終わると思います。この博物館には、他に、お酒造りや、ニワトリの品種に関する展示があります。これらの展示は、以前来た時より、充実していました。こちらも、お勧めです。
図鑑には、サトイモが掲載されています。ぜひご利用下さい。
「タロイモは語る」展について、「タロイモは語る」展(「食と農」の博物館の公式サイト内ページを参考にしてください。
過去の記事でも、サトイモについて取り上げています。また、「食と農」の博物館を取り上げたこともあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
忙中に「食」と「農」あり、博物館へ(2008/12/06)
昔は主食だった? サトイモ(里芋)(2008/06/27)
植物は、根を下ろした場所からは、動けない生き物ですね。でも、種子は、なるべく多くの場所に、ばらまく必要があります。条件の良い場所に、子孫が根を下ろさなければ、子孫を残すことが、できませんからね。
そのために、植物は、種子に、いろいろな工夫を凝らしています。よくあるのが、「種子に空を飛ばせる」植物です。例を挙げてみましょう。
カエデの仲間(カエデ科カエデ属の種)は、翼果【よくか】と呼ばれる果実を付けます。文字どおり、翼が付いた果実です。その果実の中に、種子が入っています。
といっても、鳥や昆虫と違って、植物には、「羽ばたく」ことができません。そういう、激しい動きをする機能は、植物にないからです。では、どうするのでしょうか?
じつは、羽ばたかなくても、薄い翼状の物を付けるだけで、遠くまで、果実を飛ばすことができます。紙を落とす様子を見れば、わかりますね。紙は、自分で羽ばたきはしません。けれども、少しでも風があれば、ひらひらと、遠くまで飛んでゆきます。
果実も、これと同じです。自分で動かなくても、翼を付けるだけで、遠くまで飛ぶ確率が高くなります。しかも、カエデの仲間は、それ以上の工夫をしています。
カエデの果実は、一方に重心がかたよっています。このために、木から離れて落ちると、重いほうを軸にして、くるくると回転します。回転する翼といえば、プロペラですね。
人類が発明するずっと前から、カエデは、プロペラを使っていました。うまく風に乗れば、プロペラ飛行で、かなり遠くまで、飛んでゆきます。
同じ仕組みの果実は、カエデ以外にもあります。モクセイ科トネリコ属の種などが、そうです。果実に、細長い翼があり、その翼が、回転しながら落ちてゆきます。
プロペラにならない翼を持つ果実もあります。前述のとおり、翼を付けるだけで、遠くへ飛ぶ効果があるからです。アキニレや、ウチワノキなどが、そのような翼果を付けます。
人類が登場するより、何億年も前から、植物は、「翼」を使っていたのでしょう。私たちが、自然の植物から学べることは、たくさんありそうですね。
図鑑には、アキニレ,ウチワノキ,オオモミジなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、植物の果実や種子について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ケサランパサラン? いえ、植物の種子です(2012/10/08)
鳥をだます? マユミやニシキギ(2010/12/06)
ナンテンの赤い実は、鳥のため?(2010/1/15)
可憐【かれん】なだけでは生きていけない、カタクリ(2008/03/24)
などです。