2013年3月アーカイブ
シナレンギョウ 画像
和名:シナレンギョウ
学名:Forsythia viridissima Lindl.
東京 港区【2013.03.18】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
日本で春の花といえば、何といっても、サクラですね。サクラと近縁な植物にも、春に花咲く種が多いです。今回は、それらの中から、カイドウの仲間を取り上げましょう。
カイドウ(海棠)と呼ばれる植物には、複数の種が含まれます。ハナカイドウ(花海棠)、ミカイドウ(実海棠)、ノカイドウ(野海棠)、ツクシカイドウ(筑紫海棠)などです。
前記のカイドウのうち、ハナカイドウとミカイドウとは、中国原産です。ノカイドウは、日本の九州にしか自生しません。ツクシカイドウは、もとは、日本の九州と、海外の中国からインドに分布しました。日本の野生ツクシカイドウは、現在、絶滅しています。
「○○カイドウ」は、どの種も、花が美しいです。このために、観賞用に植えられます。ハナカイドウやミカイドウなどは、観賞用に、中国から日本へ移入されました。
生き物の世界では、似た種名であっても、遠縁であることが、よくあります。けれども、「○○カイドウ」の場合は、みな近縁な種同士です。どの種も、バラ科リンゴ属に属します。私たちが食べるリンゴと、とても近縁です。ちなみに、サクラもバラ科です。
リンゴと近縁なのは、例えば、ミカイドウの果実を見れば、納得できます。ミカイドウの果実は、小さなリンゴにそっくりです。食用のリンゴの中に、ヒメリンゴという、小さなリンゴがありますよね? ぱっと見たところでは、あれと区別しがたいです。
ミカイドウの果実は、食べられます。この果実が特徴的なために、ミカイドウと名づけられました。では、ハナカイドウは? とりわけ、花が美しいために、名づけられました。
ミカイドウと違って、ハナカイドウには、あまり果実が付きません。ハナカイドウの花は、雌しべが退化しているものが多いからです。
カイドウ類の花は、古来、中国で、ひときわ愛でられました。それを表わす故事成語が、「海棠の睡【ねむ】り、未だ足らず」です。中国の歴史上、著名な美女の楊貴妃を、海棠の花にたとえた言葉です。さて、この「海棠」は、どの種のカイドウでしょうか?
美女のたとえであるからには、ハナカイドウと答えたくなりますね。しかし、現在の有力な説では、中国原産の一種、ホンカイドウ(本海棠)だろうといわれています。
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、故事成語や諺【ことわざ】に登場する生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
マタタビは、ヒトも食べられる?(2012/03/09)
魚か鳥か? シマアジ(2011/03/14)
センダン(栴檀)とは、どんな植物?(2009/05/04)
トンビは猛禽【もうきん】か(2006/11/17)
ヨシとアシは同じもの?(2006/09/08)
などです。
ヤブツバキ 画像
和名:ヤブツバキ
学名:Camellia japonica L.
東京 品川【2013.03.17】
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シモクレン 画像
和名:シモクレン
学名:Magnolia quinquepeta (Buc'hoz) Dandy
東京 品川【2013.03.17】
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ボケ 画像
和名:ボケ
学名:Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai
東京 港区【2013.03.18】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
生き物の世界には、共生という現象があります。異種の生き物同士が、共に暮らすことです。今回は、その一例を紹介しましょう。ハゼとテッポウエビとの例です。
ハゼは、魚の仲間ですね。海の沿岸域に多い魚です。多くの種は、小型です。専門的には、スズキ目【もく】ハゼ亜目【あもく】に属する種を、ハゼと総称します。
ハゼの仲間の一部に、テッポウエビと共生するものがいます。テッポウエビとは、名のとおり、エビの仲間です。テッポウエビ科に属する種を、テッポウエビと総称します。
これまでに、六十種以上のハゼが、テッポウエビの仲間と共生することがわかっています。ずいぶん多いと思いますか? これでも、ハゼの仲間のごく一部なのです。ハゼ亜目に属する種は、二千百種(!)を越えるからです。
テッポウエビのほうは、二十種以上が、ハゼと共生するとわかっています。テッポウエビ科全体の種数は、いまだ不明ですが、三百種以上いることは確実です。それらのうち、実際には、どれだけの種が、ハゼと共生するのかは、わかっていません。
ハゼとテッポウエビとは、どのように共生するのでしょうか? 彼らは、すみかを共有します。海底の砂や泥に穴を掘って、棲んでいます。穴を掘るのは、テッポウエビの役割です。ハゼよりも、テッポウエビのほうが、穴掘りが得意だからです。
ハゼのほうは、見張り役を引き受けます。テッポウエビよりも、ハゼのほうが、眼がいいからです。危険なものが近づいたら、ハゼは、テッポウエビに警報を出します。互いに得意なことを分担して、協力しているわけです。
先に書いたとおり、テッポウエビは、あまり眼が良くありません。言葉があるわけでもないのに、どうやって、ハゼは、テッポウエビに警報を伝えるのでしょうか?
じつは、テッポウエビは、ほとんど常に、長い触角を、ハゼの体のどこかに触れています。ハゼは、危険を感じると、背びれや尾びれを細かくふるわせます。その振動が、警報になります。触角で警報を感じて、テッポウエビは、巣穴に逃げ込みます。
得意技を生かして、共生するハゼとテッポウエビの姿は、微笑ましいですね。
過去の記事でも、ハゼやエビに関する記事を取り上げています。また、共生する生物についても取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤドカリとイソギンチャクとは、仲良し?(2012/03/19)
アマエビ? いえ、ホッコクアカエビです(2012/02/27)
幸せな共生の形、ドロバチとダニ(2010/12/20)
そっくりさんがいっぱい、スジエビ(2010/02/01)
ミナミトビハゼ画像(2007/09/06)
などです。
ネコヤナギ 画像
和名:ネコヤナギ
学名:Salix gracilistyla Miq.
東京 港区【2013.03.15】
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海の中にも、植物が生えていることは、皆さん、御存知でしょう。海の植物は、海草【かいそう】や海藻【かいそう】と呼ばれますね。海草と海藻とは、同じものでしょうか?
違います。紛らわしいですが、海草と海藻とは、まったく違うグループに分類されます。
海草と呼ばれるのは、多くの陸の植物と同じグループに属します。具体的には、被子植物門【ひししょくぶつもん】単子葉植物綱【たんしようしょくぶつこう】イバラモ目【もく】(オモダカ目【もく】とされることもあります)のうち、いくつかの科に属します。
海藻のほうは、多くの陸上植物とは、かけ離れています。門のレベルで、分類が違います。ごく簡単に言えば、花が咲いたり、種子ができたりする植物は、海藻に含まれません。
日本でよく食用にされるのは、海藻のほうです。コンブも、ワカメも、モズクも、ヒジキも、海藻です。海草のほうは、日本では、食用にされません。
では、海草は、ヒトの役には立たないのでしょうか? そんなことは、ありません。
海草が生える海域は、たくさんの海の生き物のすみかになります。魚の場合は、海草の茂る中で、幼魚時代を過ごすものが、多いです。そのような魚には、ヒトの食用になる種が、多く含まれます。海草がなければ、漁業が成り立たないでしょう。
海草が茂るのは、沿岸の浅い海です。底は、砂か泥です。そのような場所は、アマモ場【ば】と呼ばれることがあります。アマモという種が、日本の代表的な海草だからです。
アマモは、細長い葉を持つ海草です。アマモ科に属します。同じアマモ科には、同じく海草である近縁種が、いくつも属します。アマモ場と呼ばれる場所には、アマモだけでなく、これらの近縁種が生えていることもあります。
アマモ場に依存する生き物は、多種多様です。例えば、小エビのツノモエビ、アメフラシの仲間のウミナメクジ、イソギンチャクの仲間のオヨギイソギンチャクなどは、アマモにくっついて暮らします。他に、アマモに産卵するヒメイカや、アマモそのものを食べるアオウミガメ、アマモに紛れて暮らすヨウジウオなどがいます。
アマモ場は、文字どおりの海の揺りかごです。荒らさないようにしたいですね。
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過去の記事でも、アマモに関わる生き物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)※ここで紹介されているクラゲたちは、海藻ばかりでなく、海草にも付きます。
アオウミガメは、どこが青いか?(2007/05/11)
などです。
ハクモクレン 画像
和名:ハクモクレン
学名:Magnolia denudata
東京 品川区【2013.03.17】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
ダイサギ 画像
和名:ダイサギ
学名:Egretta alba
沖縄 豊見城【2013.01.26】
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ヘビは、不気味だと言われることが多い生き物ですね。まるで、超能力を持つかのように言われることもあります。
例えば、米国には、「ヘビは、獲物に催眠術をかける」という言い伝えがあります。日本の言い回しでも、「ヘビに見込まれたカエルのよう」というのがありますね。
残念ながら、これらの言い伝えは、本当だとは確認されていません。
ヘビは、じっと動かずに、獲物を待ち伏せるのが、得意です(ヘビの種にもよります)。単純に、獲物のほうが、ヘビの存在に気づかない場合が多いのでしょう。
とはいえ、ヒトから見れば、「超能力のように見える」能力を、ヘビが持つこともあります。ピット器官などが、その例です。ヒトが持たない器官です。
すべてのヘビが、ピット器官を持つわけではありません。クサリヘビ科マムシ亜科、ニシキヘビ科、ボア科ボア亜科に属する種だけが持ちます。
ピット器官のある場所は、ヘビの顔です。位置は、種によって違います。日本のマムシの場合は、上あごの、眼と鼻の間くらいの位置にあります。小さなくぼみですので、目立ちません。鼻の穴と間違われることもあります。
ピット器官は、簡単に言えば、「熱センサー」です。赤外線を感知する器官です。
赤外線は、多くの生物の眼には、見えません。けれども、ピット器官を持つヘビは、赤外線を「見て」います。これには、どんな利益があるのでしょうか?
周囲より、高い温度を持つもの(熱を出すもの)は、赤外線を出しています。自然界で、熱を出すものと言えば、動物ですね。とりわけ、鳥類や哺乳類は、一年じゅう、体温が高いです。そのような生き物は、ピット器官によって、見つけられやすいです。
ピット器官のおかげで、ヘビは、暗闇でも、獲物を見つけることができます。暗くても、熱があれば、赤外線が出るからです。夜行性の種には、特に、役立つ器官でしょう。
暗闇で、獲物に狙いを定められるのは、ヒトにとっては「超能力」ですね。それは、眼で見ているのではなく、ピット器官の能力です。
図鑑には、ニホンマムシ,ハブ,サキシマハブなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、ヘビの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
シロヘビ(白蛇)に会うと、福を授かる?(2013/01/14)
日本にも、コブラがいる?(2012/03/12)
ウミヘビ(海蛇)は、魚? 爬虫類?(2011/04/18)
ハブが知る? 南西諸島の成立の秘密(2010/11/05)
虹色に輝く? タカチホヘビ(2010/06/07)
などです。
オオオニバス 画像
和名:オオオニバス
学名:Victoria amazonica
東京 新宿【2013.02.11】
図鑑には、オオオニバスは載ってませんが、同じスイレン科のハスが掲載されています。ぜひご利用下さい。
早春に咲く花として、有名なものに、レンギョウの仲間がありますね。モクセイ科レンギョウ属に属する一群の種です。黄色くて小さい花を、枝にたくさん付けます。
レンギョウとそっくりで、白い花を付ける植物を、見たことがありませんか? レンギョウと同じくらい、あるいは、もっと早い季節に、花が咲くものです。
それは、おそらく、ウチワノキという種でしょう。モクセイ科ウチワノキ属に属する一種です。レンギョウとは、科が同じですから、近縁です。でも、属が違います。それにしても、よく似るために、シロバナレンギョウという別名があります。
レンギョウと同じく、ウチワノキも、観賞用に植えられます。日本では、人間が植えたものしか、見ることができません。日本原産の種ではないからです。
ウチワノキの原産地は、朝鮮半島の中部です。二十世紀の初めの頃、新しく発見された種です。日本に入ったのは、昭和の初め頃だといわれます。
ウチワノキ属に属するのは、ウチワノキただ一種です。珍しい種といえますね。観賞用としても、さほど大量に栽培されてはいません。あまり知られない種です。
ウチワノキ(団扇の木)という名は、何に由来するのでしょうか? 花を見ても、団扇【うちわ】らしいところはありません。果実の形が、団扇に似るのです。平たくて、円形とハート形の中間のような形をしています。
英語では、ウチワノキを、white forsythiaといいます。「白いレンギョウ」という意味です。英語圏の人も、ウチワノキを、レンギョウの仲間だと思ったのでしょう。forsythiaというのが、レンギョウ属を指す英語です。ラテン語の学名にもなっています。
原産地の朝鮮半島でも、ウチワノキは、数が多い木ではありません。自生地は、韓国の天然記念物に指定され、保護されています。
日本のウチワノキは、すべて栽培ものですから、保護されているわけではありません。誰でも、栽培できます。珍しい木とはいえ、栽培は難しくないと聞きます。早春を彩る花として、もっと活用されていい植物だと思います。
図鑑には、ウチワノキが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、モクセイ科に属する植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ウメじゃない梅がある?(2011/02/18)
桂【けい】とは、どんな植物?(2010/11/22)
ヨーロッパ独りぼっち? レンギョウ(2010/03/12)
この木なんの木、ナンジャモンジャの木?(2009/05/29)
西洋ヒイラギはクリスマスに、ヒイラギは節分に(2005/12/23)
などです。
セイタカシギ 画像
和名:セイタカシギ
学名:Himantopus himantopus
沖縄 豊見城【2013.01.26】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
クラゲは、海に棲む動物ですね。最近は、水族館で人気があります。ふわふわと漂うように泳ぐ姿が、「癒し系」といわれます(笑)
クラゲの泳ぐ姿は、美しいと、私も思います。でも、海中の小さな生物にとっては、クラゲは、恐ろしい肉食動物でしょう。多くのクラゲは、他の生物を食べます。
魚など、比較的、大きな生物を食べることもあります。もっと小さな、プランクトン生活をする甲殻類などは、もっとよく食べられているようです。
ところが、中には、ほとんど何も食べないクラゲがいます。例えば、サカサクラゲなどが、そうです。彼らは、どうやって、生きるための栄養を得るのでしょうか?
サカサクラゲの場合、体内に、藻類【そうるい】が共生しています。藻類は、太陽光で光合成をして、栄養分を作ります。その栄養分を、クラゲがもらって、生きています。
おかげで、サカサクラゲは、ほとんど、食事の必要がありません。そのかわり、常に、太陽の光に当たり続ける生活をしなければなりません。
サカサクラゲが、名のとおり、逆さで暮らすのは、ここに理由があります。体内の藻類に、光が当たりやすくしているのでしょう。彼らは、日本では、鹿児島以南の、暖かく、浅い海に棲みます。そういう海なら、藻類に、光合成をしてもらいやすいですね。
普段、サカサクラゲは、砂地の海底に、逆さになって、口腕【こうわん】(口の周囲の触手)をひらひらさせています。まるで、イソギンチャクのようです。けれども、彼らは、普通のクラゲと同様に、泳ぐこともできます。
餌を取る必要がないなら、強い刺胞【しほう】も必要なさそうですね。刺胞とは、すべてのクラゲが持つ武器です。眼に見えないほど小さな、槍のようなものです。クラゲが「刺す」のは、この刺胞の働きです。強い刺胞ですと、ヒトにも効くわけです。
サカサクラゲも、それなりに強い刺胞を持ちます。ヒトが刺されて、痛いと感じる程度です(クラゲの刺胞の効果には、個人差があります)。餌を取る必要がないのに、なぜ、これだけ強い刺胞を持つのか、その理由は、わかっていません。
図鑑には、サカサクラゲが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、クラゲの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
不老不死のクラゲがいる?(2011/01/07)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/04/01)
泳がないクラゲがいる?(2009/07/27)
美しい日本固有種、カミクラゲ(2009/03/13)
海藻【かいそう】? いいえ、イラモはクラゲです(2007/07/16)
などです。
クロツラヘラサギ 画像
和名:クロツラヘラサギ
学名:Platalea minor
沖縄 豊見城【2013.01.26】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
早いところでは、そろそろ、ジンチョウゲの花が、咲いているでしょうか?
ジンチョウゲ(沈丁花)は、日本人に、とても好まれていますね。良い香りで知られます。ですが、日本在来の種ではありません。室町時代ころに、中国から伝わったと考えられています。アジア大陸には、ジンチョウゲに近縁な種が、いくつも分布します。
例えば、ラテン語の学名を、Daphne bholuaという種があります。ネパールやブータンなどのヒマラヤ地方に分布します。日本に分布しないため、日本語名はありません。ジンチョウゲと同じく、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属(Daphne属)の一種です。
Daphne bholuaは、ネパールで、面白い使われ方をします。この樹の樹皮から、紙を作るのです。この樹から作られた紙は、ロクタ・ペーパーと呼ばれます。ネパールで、この樹をロクタloktaと呼ぶからです。ロクタ・ペーパーは、お土産として喜ばれます。
Daphne bholuaとジンチョウゲとを見比べると、似ています。近縁であることが、納得できます。では、ジンチョウゲからも、同じように、紙ができるのでしょうか?
ジンチョウゲから紙を作った話は、聞いたことがありません。けれども、近縁な別種からは、よく紙を作ります。その種とは、ミツマタです。
ミツマタも、早春に花を咲かせる樹ですね。和紙の原料になることで、知られます。ミツマタは、ジンチョウゲ科ミツマタ属の一種です。同じ科に属するもの同士、Daphne bholuaと共通する用途に使われるのは、興味深いですね。
前述のとおり、ジンチョウゲ属を指すラテン語の学名は、Daphne(ダフネ)です。この名は、ギリシア神話に由来します。ダフネという名の妖精が、樹木に姿を変えたという神話があります。ところが、その樹は、ジンチョウゲ属ではありません。
ダフネが姿を変えたのは、ゲッケイジュ(月桂樹)です。ゲッケイジュは、クスノキ科に属します。ジンチョウゲ属とは、遠縁です。なぜ、こうなったのでしょうか?
ジンチョウゲ属の葉が、ゲッケイジュに似るために、こうなったようです。「他人の空似」ですね。「他人」の名で呼ばれるジンチョウゲは、苦笑しているかも知れません。br/>図鑑には、ジンチョウゲ,ゲッケイジュが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、早春に花が咲く植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
マンサクは、「魔女のはしばみ」?(2011/03/04)
ウメじゃない梅がある?(2011/02/18)
トサミズキは、土佐に生える?(2009/03/23)
キブシ、キフジ、どちらが本当?(2009/02/27)
ミツマタは、本当に「三つまた」になる?(2008/03/07)
などです。
サンシュユ 画像
和名:サンシュユ
学名:Cornus officinalis Siebold & Zucc.
東京 品川【2013.03.05】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
コブシ 花芽 画像
和名:コブシ
学名:Magnolia praecocissima Koidz.
東京 品川【2013.03.05】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
アオサギ 画像
和名:アオサギ
学名:Ardea cinerea
沖縄 豊見城【2013.01.26】
図鑑には、が掲載されています。ぜひご利用下さい。
以前、このブログで、鳥の足の形について、お話ししましたね(鳥の足の形は、どんなふう?(2012/05/07)。
今回は、その続きをお話ししましょう。水鳥の足のことです。
水鳥の足には、多く、水かきが付いています。足の趾【ゆび】の間に、膜がありますね。泳ぐのに、水が掻きやすくなっています。アヒルの足などが、代表的です。
専門的には、アヒルのように水かきが付いた足を、蹼足【ぼくそく】と呼びます。同じ蹼足でも、水かきの付き方が、鳥の種によって違います。
一番、多いのは、前に向かった三本の趾の間に、膜がある形です。後ろに向いた一本の趾には、膜がありません。カモ、ガン、ハクチョウ、カモメ、アホウドリ、ウミツバメなど、多くの水鳥が、この形の蹼足です。アヒルは、カモの蹼足を受け継いでいます。
中には、四本の趾、すべての間に、膜がある足もあります。このような形の蹼足は、全蹼足【ぜんぼくそく】と呼ばれます。日本で見られる鳥では、ウの仲間が、全蹼足を持ちます。鵜飼【うかい】に使う鵜【う】ですね。ウミウ、カワウなどの種があります。
水鳥にもかかわらず、水かきの発達が悪い鳥もいます。一見、水かきがないように見えます。けれども、よく見ると、趾の付け根に、小さな水かきが付いています。
このような足は、半蹼足【はんぼくそく】と呼ばれます。サギの仲間や、シギ・チドリの仲間が、半蹼足を持ちます。これらの鳥は、水鳥といっても、ほとんど泳ぎません。水中を歩くことが多いです。このために、水かきを発達させなかったのでしょう。
半蹼足ではなくて、本当に、水かきがない水鳥もいます。カイツブリなどが、そうです。
カイツブリは、よく泳ぐ鳥です。なのに、なぜ、水かきがないのでしょうか? その秘密は、弁足【べんそく】という足の構造にあります。
弁足と呼ばれる足は、趾が、とても太く見えます。それは、個々の趾に、平たい「弁」状のものが、付いているからです。この「弁」で、水を掻いて、泳ぎます。
水鳥が、みな、アヒルのような足をしていると思うのは、間違いです。いろいろな水場に応じて、鳥たちは、それぞれ、適した足を進化させたのでしょう。
図鑑には、カイツブリ,ウミウ,マガンなど日本の水鳥が、六十種以上掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、鳥の足について取り上げています。また、さまざまな水鳥を取り上げた記事もあります。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
鳥の足の形は、どんなふう?(2012/05/07)
白いガンや黒いガンがいる?(2012/01/30))
カモ? いえ、カイツブリです(2011/12/19)
川にいるのにウミウ(海鵜)?(2006/06/05)
などです。
「地球上の生命は、海で生まれた」といわれていますね。最初、地球の陸上には、まったく生命はいなかったと考えられています。植物も、動物も、海から陸へと進出したことは、まず間違いありません。先に上陸したのは、植物のほうでした。
初めて陸に上がった植物には、花は咲きませんでした。当然、果実もみのりません。
「原始的な植物には、花は咲かない」と、聞いたことがありませんか? これは、正しいです。原始的とされるシダ植物などには、花は咲かず、果実も付きません。大昔の植物の性質を、残しているのですね。
最初期の陸上植物には、花だけでなく、葉もありませんでした。根もありません。あるのは、茎だけです。地中に地下茎を伸ばし、地上に茎を伸ばして、体を支えました。
茎ばかりの植物なんて、殺風景に感じますね。こんな植物は、今でもあるのでしょうか?
あります。日本に分布する植物の中では、マツバランが、そうです。
マツバランは、マツバラン科マツバラン属の一種です。大きな分類グループとしては、シダ植物門に入れられています。とはいえ、普通のシダ植物とは、ずいぶん違います。
マツバランには、葉も根もありません。普通のシダ―例えば、ワラビなど―には、葉と根とは、ありますよね。マツバランは、葉や根が発達する前の、上陸したばかりの植物の姿を、残していると考えられます。普通のシダより、原始的です。
マツバランを観察すれば、上陸したての頃の植物の様子がわかるのではないかと、期待されています。けれども、マツバランが、現在の陸上植物の直接の祖先に当たるのかどうかは、まだ、わかっていません。
花も咲かないのに、マツバランは、園芸植物として栽培されることがあります。ことに、日本では、江戸時代から栽培されてきました。茎ばかりの植物なのが、珍しがられたようです。茎の形や、枝分かれの様子によって、いくつもの栽培品種があります。
昔の人は、マツバランが、植物進化の秘密を握るものだとは、知らなかったでしょう。こんな地味なものを、園芸植物にするとは、渋い趣味だと思います(笑)
図鑑には、マツバランが掲載されています。ぜひご利用下さい。
過去の記事でも、原始的とされる植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヤマグルマは、生きている化石?(2011/02/11)
ヒカゲノカズラは、日陰に生える?(2009/12/07)
ヤシ? いいえシダの木です。マルハチ(2007/11/02)
センリョウとマンリョウはどう違う?(2007/01/08)
街路樹は生きている化石、イチョウ(2005/11/21)
などです。