マツヨイグサとツキミソウとは、違う? 同じ?

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 「富士山には月見草がよく似合う」という言葉がありますね。太宰治の小説『富嶽百景』の冒頭の文です。ここに出る「月見草」は、現在のツキミソウではないといわれます。
 現在、正式な日本語名(標準和名)をツキミソウという種は、めったに見られません。もともと、日本に自生する種ではありませんでした。原産地は、メキシコです。観賞用に、日本に入れられましたが、その後、すたれてしまいました。
 標準和名ツキミソウは、日本の気候には、合わないのかも知れません。野生化した個体があるとは、聞いたことがありません。富士山の周囲に、目立つほど生えていることは、ないでしょう。太宰の言う「月見草」は、別の種だと考えるのが、妥当です。
 一般的に、月見草と呼ばれるのは、アカバナ科マツヨイグサ属の種です。日本には、マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ、オニマツヨイグサなどの種があります。標準和名ツキミソウも、同じマツヨイグサ属に属します。
 ツキミソウ以外のマツヨイグサ属の種も、本来、日本には、自生しませんでした。この属の種は、すべて、北米・中米・南米が原産地です。例えば、標準和名マツヨイグサは、南米原産です。江戸時代末期に、日本に入りました。やはり、花を観賞するためです。
 ところが、ツキミソウと違って、多くのマツヨイグサ属の種は、とても丈夫でした。繁殖力も、強いです。栽培されなくなっても、日本の各地に、野生化しています。
 マツヨイグサ属の種は、互いに、似たものが多いです。「夕方に花を開き、夜じゅう咲いて、朝にしぼむ」性質が、同じです。ツキミソウ(月見草)や、マツヨイグサ(待宵草)という種名は、そのような性質から、付けられました。
 多くのマツヨイグサ属の種は、黄色い花を咲かせます。マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサなど、みな、そうです。似ているために、種の区別は、難しいです。
 この点でも、標準和名ツキミソウは、例外です。白い花が咲くからです。
 現在の日本には、十種以上のマツヨイグサ属の種が、帰化しているといわれます。太宰が小説で書いたのは、これらのうち、どの種でしょうか? この謎は、解けていません。
図鑑には、オオマツヨイグサなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、外来の植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ノボロギクは、キオン属か? サワギク属か?(2012/12/28)
属名で混乱中、ヒエンソウ(飛燕草)の仲間たち(2011/05/27)
オオイヌノフグリは、妖精の花?(2011/03/18)
じつは外来種です、キショウブ(2009/04/24)
さすらいの侵略者セイタカアワダチソウ(2005/10/25)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2013年5月31日 07:48に書いたブログ記事です。

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