仏典【ぶってん】にも登場、マンゴー

user-pic
0

ico_weather_kumori.gif

 マンゴーは、夏の果物として、すっかり定着しましたね。日本では、南九州や南西諸島などで、栽培されます。熱帯の植物ですので、原産地は、日本ではありません。インドからマレー半島にかけての地域が、原産地だと推定されています。
 マンゴーの栽培が始まったのは、インドだろうといわれます。少なくとも、四千年ほど前には、インドでマンゴーが栽培されていました。もちろん、果実を食べるためです。
 古代インドといえば、仏教が生まれた地ですね。お釈迦さまにとっても、マンゴーは、親しいものでした。仏典(仏教の聖典)には、マンゴーがよく登場します。
 例えば、お釈迦さまは、マンゴーの林で説法をしました。また、お釈迦さまの弟子になった人が、マンゴー林を寄付したこともありました。
 古代インドの言葉では、マンゴーを、アームラと呼びました。日本語の仏典では、これに漢字を当てて、菴羅【あんら】や菴摩羅【あんまら】などと呼ばれます。
 菴羅ことマンゴーは、仏典の譬【たと】え話にも、登場します。お釈迦さまの前世を語る『ジャータカ』には、「マンゴーの花は多いが、実を結ぶものは少ない」とあります。
 実際、マンゴーには、細かい花が、おびただしく咲きます。一つの花序に、数百から数千もの花が付きます。けれども、結実するのは、そのうちの二、三個です。
 ある仏典には、「僧侶の内面を知りがたいのは、マンゴーの果実が熟れているかどうか、知りがたいのと同じだ」とあります。これも、マンゴーをよく観察していなければ、出てこない譬えです。マンゴーの果実は、外見から、熟し方を知るのが難しいのです。
 野生のマンゴーの果実は、大きさも、形も、色も、味も、ばらつきが大きいです。果実の色だけを見ても、緑、黄、赤、紫などがあります。これに、栽培品種まで加えたら、どれほどの変異があるか、想像を絶するほどです。
 「完全に熟しても、緑色のままの果実があるように、人間の内面もわからない」と、仏典で言っているわけですね。マンゴーの果実を引き合いに、人間の本質を突いています。古代インドで、深い洞察をやさしく語るのに、マンゴーは適していたのでしょう。
図鑑には、マンゴーなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。

過去の記事でも、熱帯産の果物を取り上げています。また、仏教に関係する果物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
バナナは、最古の栽培植物?(2013/01/18)
スイカの故郷は、どこ?(2011/09/02)
ザクロが人肉の味というのは、本当?(2007/09/28)
チンパンジーの贈り物はパパイア?(2007/09/13)
お釈迦さまも食べた? レモン(2006/08/21)
などです。

月別 アーカイブ

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2013年8月 9日 07:38に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「赤坂の福猫」です。

次のブログ記事は「ケチョウセンアサガオ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。