シンカイヒバリガイの進化の謎

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 深海には、多くの奇妙な生物が棲むことが、知られるようになってきましたね。今回は、そんな深海生物の仲間を取り上げましょう。シンカイヒバリガイです。
 シンカイヒバリガイは、深海の二枚貝の一種です。深海の中でも、特殊な環境に棲みます。地球の活動により、海底から、熱水が噴き出している所です。そのような所で、海底の岩などに、びっしりと集団で貼りついています。
 深海の熱水環境には、その環境に適応した生物群ができます。シンカイヒバリガイ以外に、シロウリガイ、ハオリムシ、ゴエモンコシオリエビなどがいる生物群です。ハオリムシは、以前、このブログで取り上げましたね(ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10))。
 以前の記事に書きましたように、ハオリムシは、「食べる」ことをしません。彼らの体内には、細菌の仲間が共生していて、その細菌が作る栄養を受け取っています。
 同じことを、シンカイヒバリガイも行なっています。けれども、シンカイヒバリガイの場合は、食べる機能も残しています。海水中から、有機物を濾【こ】し取って「食べる」こともできます。浅い海に棲む、多くの二枚貝が行なう食事方法です。
 シンカイヒバリガイは、普通の浅い海の種から進化したと考えられています。どんな種から進化したのでしょうか? イガイ(貽貝)の仲間だと考えられます。イガイとは、食用になるムール貝の仲間です。シンカイヒバリガイは、イガイ科に属します。
 浅海に棲むイガイは、シンカイヒバリガイと違って、体内に共生する細菌がいません。細菌から、栄養をもらってはいないのですね。すべて自力で、餌を濾し取っています。
 イガイのように「すべて自力」の状態から、体内の細菌と共生するまでの道のりは、長そうですね。どうやったら、そんな飛躍的な進化ができるのでしょうか?
 じつは、シンカイヒバリガイと、普通のイガイとを結ぶ種が、見つかっています。ヒラノマクラという種です。やはり、イガイ科に属します。深海に棲む二枚貝です。
 ヒラノマクラは、体外の鰓【えら】の部分に、共生細菌がいます。このことから、共生細菌なし→体外共生→体内共生、という道筋が推定されています。

図鑑には、イガイなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、イガイなどの二枚貝や、深海生物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
深海には、巨大な甲殻類がいる?(2013/7/22)
ハオリムシ(羽織虫)の分類は?(2012/12/10)
海の中にも、ウグイスがいる?(2011/5/2)
日本初の大発見、セイスイガイ(勢水貝)(2010/6/21)
ムール貝やパーナ貝とは、どんな貝?(2008/12/12)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2014年3月17日 07:23に書いたブログ記事です。

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