コケと付いても苔じゃない、サギゴケ

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 生物の種名には、分類学的な位置を、正しく表わさないものも多いですね。植物で言えば、ラン科ではない種に、「○○ラン」と名づけたりします。
 今回は、そのような植物の一種を紹介しましょう。サギゴケ(鷺苔)です。
 サギゴケは、種名にも、分類にも、混乱が見られます。そもそも、正式な日本語名(標準和名)が、決まっていない状態です。「サギゴケ」を標準和名とすることもありますし、「ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)」を標準和名とすることもあります。
 ムラサキサギゴケを標準和名とする由来は、花の色が紫色だからです。春に、小さな、やや鳥に似た形の花を咲かせます。中に、白い花を咲かせる変種があります。白い花は、小さなシラサギ(白鷺)のように見えます。だから、サギゴケという名になりました。
 一般的には、紫の花が咲くものをムラサキサギゴケ、白い花が咲くものをサギゴケと呼ぶことが多いです。けれども、サギゴケを標準和名とする立場では、紫の花が咲いてもサギゴケとし、白い花の変種は、シロバナサギゴケと呼んだりします。
 花が咲くことからわかるように、サギゴケは、コケ植物ではありません。背が低く、地面を這う草であることから、コケに似ていると見なされました。
 サギゴケは、伝統的には、ゴマノハグサ科サギゴケ属に属するとされてきました。最近の分類では、ハエドクソウ科サギゴケ属に属するとされます。
 サギゴケには、紫や白以外に、桃色の花が咲く変種もあります。また、葉が縮れて重なり合う変種もあります。桃色の花が咲く変種は、モモイロサギゴケ(桃色鷺苔)と呼ばれます。葉が縮れる変種は、ジャカゴソウ(蛇籠草)と呼ばれます。
 ジャカゴソウの蛇籠【じゃかご】とは、昔の日本で、川の護岸などに使った物です。竹などを籠【かご】状に編んで、その中に石を詰めた物です。ジャカゴソウの葉が重なる様子が、蛇籠に似て見えたため、こんな名が付いたようです。
 ジャカゴソウは、江戸時代くらいから、観賞用に栽培されてきました。サギゴケの仲間は、どれも小さな草です。その美しさを見出すとは、昔の人に、感心しますね。
図鑑には、サギゴケなどが掲載されています。ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、旧・ゴマノハグサ科とされた植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
寄生植物は、分類が難しい?(2013/7/12)
ゴマノハグサ科は、大分裂中?(2011/10/21)
オオイヌノフグリは、妖精の花?(2011/3/18)
植物の世界は、「虎の尾」だらけ?(2009/11/16)
桐【きり】の名前で、きりきり舞い?(2009/5/8)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2014年4月11日 07:58に書いたブログ記事です。

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