あれもイワシ? これもイワシ?

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 イワシ(鰯)は、日本人に馴染みのある魚ですね。食用魚として、重要です。ところが、日本語の正式名称(標準和名)を、「イワシ」という種名の魚は、存在しません。
 「イワシ」と呼ばれる魚には、複数の種が含まれます。普通、「イワシ」と呼ばれるのは、マイワシ(真鰯)、ウルメイワシ(潤目鰯)、カタクチイワシ(片口鰯)の三種です。
 この三種は、確かに、外見が似ています。どれも、小型で、すんなりしていて、背の青い魚です。海中では、表層に、群れをなして暮らすところも、同じです。
 けれども、これら三種の中には、仲間外れがいます。それは、カタクチイワシです。
 カタクチイワシは、ニシン目【もく】カタクチイワシ科に属します。対して、マイワシとウルメイワシとは、ニシン目ニシン科に属します。
 昔、生物学が進んでいない頃は、これら三種は、外見どおり、近縁だと思われました。このために、同じ「イワシ」の名が付いたのですね。のちに、違うグループだとわかってからも、「イワシ」の名は、引き継がれています。
 近縁でなくとも、外見が似るのには、理由があります。三種とも、生態が似るからです。生態が同じならば、体の形も同じほうが、都合が良いのですね。群れになるのは、敵から身を守るためです。小型で弱い魚なので、群れでなくては、敵に対抗できません。
 日本人は、小型で弱々しく見える魚には、「イワシ」という名を付ける傾向があります。ニシン科にも、カタクチイワシ科にも属さないのに、「○○イワシ」という種名の魚が、何十種もいます。セキトリイワシ、トウゴロウイワシ、ハダカイワシなどです。
 これらの「○○イワシ」たちは、分類学的には、ばらばらです。例えば、トウゴロウイワシは、トウゴロウイワシ目【もく】トウゴロウイワシ科に属します。セキトリイワシは、ニギス目【もく】セキトリイワシ科に属します。ハダカイワシは、ハダカイワシ目【もく】ハダカイワシ科に属します。セキトリイワシとハダカイワシとは、深海魚です。
 これらの「○○イワシ」たちは、あまり食用にされません。日本の食卓に並ぶのは、ニシン科のマイワシなどか、カタクチイワシ科のカタクチイワシなどが、ほとんどです。



 過去の記事でも、日本で食用にされる魚を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
魚か鳥か? シマアジ(2011/3/14)
味が良いから、アジ(鯵)?(2009/11/6)
キュウリウオは、キュウリの香り?(2009/4/17)

カサゴ(笠子)は、似たもの同士の一族(2007/11/26)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2014年6月 2日 07:46に書いたブログ記事です。

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