ヒユとスベリヒユとは、違う? 同じ?

user-pic
0

ico_weather_kumori.gif / ico_weather_ame.gif

 日本の道端で、よく見られる雑草に、スベリヒユという種があります。赤紫の、太い茎が特徴です。葉は小さいけれど、厚みがあります。暑い日でも、葉も茎も、つやつやして、みずみずしいです。見た目どおり、乾燥に強い植物です。
 多くの人は、道端の雑草など、気にも留めないでしょうね。けれども、よく見ると、この草は、美味しそうに見えなくもありません。みずみずしいからですね。
 実際、地方によっては、この草を食用にします。葉や茎を、野菜として食べます。畑で、農作物として栽培する地方もあります。スベリヒユという種名は、食感に由来するといわれます。茹でるとぬめりが出る様子を、「スベリ」ヒユと表現したようです。
 植物の中には、ヒユという種もあります。スベリヒユは、ヒユの仲間なのでしょうか?
 違います。スベリヒユは、ヒユとは遠縁です。スベリヒユ科スベリヒユ属に属します。ヒユのほうは、ヒユ科ヒユ属に属する種です。名前が似ていても、違うグループです。
 ややこしいことに、ヒユという名は、ヒユ一種だけを指すのではない場合があります。ヒユ科ヒユ属の種を総称して、ヒユと呼ぶこともあるのです。
 さらに紛らわしいことに、ヒユ(属)のほうも、食用になります。ただし、ヒユ(属)は、葉や茎を野菜として食べるより、種子を穀物として食べるほうが多いです。
 名前が似ていて、食用になることも同じであるため、スベリヒユとヒユとは、混同されやすいです。特に、翻訳文学の世界では、混同されがちです。実物の植物を見比べにくいからですね。翻訳文学に「ヒユ」と名が付く植物が登場したら、注意が必要です。
 スベリヒユとヒユとは、食用になるばかりではありません。観賞用にもなります。
 スベリヒユのほうには、ハナスベリヒユという栽培品種があります。普通のスベリヒユより、ずっと大きめの、美しい花が咲きます。マツバボタンに似ています。それも道理で、スベリヒユとマツバボタンとは、同じスベリヒユ科スベリヒユ属に属します。
 ヒユのほうは、主に葉を観賞します。紅葉が美しいからです。葉を観賞する亜種には、ハゲイトウ(葉鶏頭)という名が付いています。
図鑑には、スベリヒユが掲載されています。ぜひご利用下さい。


  過去の記事でも、紛らわしい植物同士を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
アオイ科でないアオイ(葵)がある?(2013/6/21)
シモツケと、シモツケソウとの関係は?(2013/5/17)
海草と海藻とは、違う? 同じ?(2013/3/22)
アスナロが育つと、ヒノキになる?(2012/12/31)
エノキ? いえ、ムクノキです(2012/10/5)
などです。

月別 アーカイブ

このブログ記事について

このページは、松沢千鶴が2014年7月11日 07:17に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「コムラサキ」です。

次のブログ記事は「アガパンサス」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。