同名異種? ネコノシタとクマノギク

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 生き物の名前には、別名が多くて、戸惑いますね。方言名などがあるからです。混乱しないように、学術的な場面では、標準和名が使われます。標準和名とは、正式な日本語名であると認められた種名です。一種に対して、一つの標準和名が決められています。
 ところが、時には、一つの標準和名に、二つ以上の種が割り当てられてしまうこともあります。これは、明らかに、誤りです。種の区別がつきませんからね。このために、どちらか片方、あるいは、両方の標準和名が、変更されるのが、普通です。
 今回は、そのような例を紹介しましょう。「ハマグルマ」という植物についてです。
 かつて、標準和名を「ハマグルマ」とされた植物には、二つの種が含まれていました。どちらも、キク科ハマグルマ属に属する種です。分布や形態も似ています。両種とも、暖地の海岸近くに生えます。夏から秋にかけて、黄色い花を咲かせます。
 もちろん、実際には、別種同士ですから、違いがあります。
 片方の「ハマグルマ」は、標準和名を「ネコノシタ」にされました。葉が、ネコの舌のように、ざらざらしているからです。もう片方の「ハマグルマ」は、標準和名が「クマノギク」になりました。和歌山県の熊野地方に多いからです。
 ネコノシタとクマノギクとでは、生息場所にも、違いがあります。ネコノシタは、海のすぐそばの砂浜に生えます。クマノギクは、海の近くに多いですが、砂浜には、生えません。水田近くなどの、湿気の多い場所に生えます。
 「ハマグルマ」が、ネコノシタとクマノギクとに分けられたことにより、キク科ハマグルマ属には、「ハマグルマ」という種がないことになりました。なのに、「オオハマグルマ」や「キダチハマグルマ」という種は、ハマグルマ属に存在します。
 ややこしいことに、ハマグルマ属ではないのに、ハマグルマという種名が付くものがあります。アメリカハマグルマです。この種は、もと、ハマグルマ属に分類されていたために、このように名づけられました。現在では、別の属に分類されています。
 図鑑などを見ていて、「ハマグルマ」という種名が出てきたら、注意が必要ですね。
図鑑には、ハマグルマなど、日本のクモが九種ほどが掲載されています。ぜひご利用下さい。


  過去の記事でも、キク科に属する植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ハンゴンソウとは、どんな意味の名前?(2013/9/27)
タカサブロウ(高三郎)とは、人の名か?(2013/6/28)
ヤブタバコは、タバコの仲間か?(2013/2/8
ヤクシソウ(薬師草)の語源は?(2013/1/25)
ノボロギクは、キオン属か? サワギク属か?(2012/12/28)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2014年9月19日 07:58に書いたブログ記事です。

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