「山ごぼう」に御注意を

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 動物や植物の名前には、別名が多いです。特に、食用や観賞用にされるものには、その傾向があります。売られるものは、印象を良くするために、正式な種名(標準和名)とは、違う名前をつけられることが、多いのですね。
 今回は、植物の例を挙げてみましょう。「山ごぼう」です。山間地へ行くと、お土産物店などに、「山ごぼうの漬物」などが、売られていることがあります。あの「山ごぼう」は、標準和名ヤマゴボウという植物ではありません。
 食べられる「山ごぼう」は、キク科のうちの、いくつかの種です。モリアザミ、オヤマボクチなど、アザミ属とヤマボクチ属の種です。標準和名ヤマゴボウは、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属に属する一種です。こちらのヤマゴボウは、食べられません。
 標準和名ヤマゴボウが食べられないのは、有毒だからです。毒は、上手く使えば薬になりますから、昔は、薬に使われることもあったようです。もともと、薬にするために、中国から持ち込まれたと考えられています。外来植物の一種ですね。
 標準和名ヤマゴボウは、さほど、日本では、はびこっていません。ヤマゴボウに近縁で、ヤマゴボウよりずっとはびこっている種があります。ヨウシュヤマゴボウです。
 ヨウシュヤマゴボウも、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属に属します。人家の近くに、たくさん生えています。夏から秋にかけて、濃い紫色の、ブドウの房状の果実を付けます。
 ヨウシュ(洋種)という種名のとおり、原産地は、日本ではありません。北米です。日本には、どういう経緯で入ってきたのか、はっきりしません。
 ヨウシュヤマゴボウの果実は、つやつや光って、美味しそうに見えます。けれども、決して、食べてはいけません。有毒だからです。シカのような草食獣も、この種を食べたがりません。哺乳類全般にとって、有毒なようです。
 標準和名ヤマゴボウや、ヨウシュヤマゴボウは、食用や薬用として、素人が手を出せる植物ではありません。研究者にとっては、興味深い対象です。ヨウシュヤマゴボウの成分が、薬に使えるかどうか、研究されていると聞いています。
図鑑には、ヨウシュヤマゴボウ,ゴマダラチョウが掲載されています。ぜひご利用下さい。


 過去の記事でも、紛らわしい名を持つ植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒユとスベリヒユとは、違う? 同じ?(2014/7/11)
コデマリとオオデマリとは、どう違う?(2014/5/2)
芝に咲いた桜花? シバザクラ(2014/4/18)
アオイ科でないアオイ(葵)がある?(2013/6/21)
シモツケと、シモツケソウとの関係は?(2013/5/17)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2014年10月31日 07:39に書いたブログ記事です。

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