お酒を出す木がある?

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 熱帯の生き物には、温帯地方の常識では、考えられないものがいます。例えば、お酒を出す木があると言ったら、信じられますか? お酒好きな人の夢みたいに聞こえますよね。ところが、そのような樹木は、本当に存在します。
 正確には、「お酒を出す」というより、「樹液が、お酒に変化する」木です。そのような木は、ヤシ科の中に、何種も存在します。代表的な種が、オウギヤシや、サトウナツメヤシです。どちらの種も、観賞用や食用に、熱帯地方で、よく栽培されます。
 オウギヤシは、ヤシ科オウギヤシ属の一種です。葉が、巨大な扇のように広がることから、名づけられました。この種は、花序―花の付く部分―を切って、そこから出る液を集めます。その花序の液は、甘くて、美味しいのです。天然の清涼飲料水です。
 この花序液は、普通、朝に採取します。昼まで放っておくと、液は、発酵して、お酒になってしまいます。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
 それは、熱帯地方では、微生物の活動が活発だからです。お酒を造る微生物―酵母【こうぼ】―が、花序液の中の糖分を使って、アルコールを産出します。熱帯では、ある程度以上の糖分があれば、わずか数時間のうちに、お酒ができてしまうのですね。
 サトウナツメヤシでも、オウギヤシと、同じことが起こります。サトウナツメヤシは、ヤシ科ナツメヤシ属の一種です。この種の場合は、花序ではなく、幹の上部を傷つけて、そこから出る樹液を採取します。そのまま飲めば、甘くて、美味しい天然飲料です。
 サトウナツメヤシの樹液も、朝に採ります。昼には、それが、お酒になっています。
 オウギヤシや、サトウナツメヤシの液を煮詰めると、砂糖ができます。熱帯では、砂糖の原料として、ヤシ科の植物が、重要な役割を果たしています。オウギヤシや、サトウナツメヤシ以外に、サトウヤシや、ココヤシが、砂糖を作るのに利用されます。
 サトウヤシは、サトウナツメヤシと、紛らわしい種名ですね。この二種は、互いに別種です。サトウヤシのほうは、ヤシ科クロツグ属に属します。サトウヤシは、オウギヤシと混同されることもあります。砂糖ができるヤシの種名には、注意が必要です。


 過去の記事でも、ヤシ科の植物を取り上げています。また、ヤシ科の植物を食べる昆虫も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
害虫は、食べて退治? ヤシオオオサゾウムシ(2013/7/29)
タラヨウとタラジュとは、違う? 同じ?(2013/7/26)
混同されてばかり? シュロ(2012/6/8)
ヤシ(椰子)の葉の秘密とは?(2011/1/17)
ビロウとビンロウとは、違う? 同じ?(2010/1/29)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2015年3月13日 07:33に書いたブログ記事です。

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