再来なるか? ニシノシマホウキガニ

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 小笠原諸島の西之島【にしのしま】の噴火のニュースは、皆さん、御存知でしょう。二〇一三年に、西之島のすぐ隣の海域で、噴火が始まりました。あんなにすごい噴火状況では、西之島の動物も、植物も、とうてい生きていられるとは思えませんね。
 西之島付近では、一九七三年にも、大きな噴火が起こっています。その時は、どうだったのでしょうか? じつは、一九七五年に、大きな発見がありました。
 噴火直後で、生き物はほとんどいないと思われた海域に、カニが見つかりました。それは、新種のカニでした。研究の結果、イワガニ科の新属新種とわかりました。
 新種のカニは、ラテン語の学名を、Xenograpsus novaeinsularisと付けられました。日本語の種名は、NHKの番組で、公募されました。その結果、ニシノシマホウキガニに決まりました。はさみに毛が生えて、ほうきのようなことから、この名になりました。
 噴火直後の荒れ果てた海で、ニシノシマホウキガニは、どうやって暮らしているのでしょうか? これについては、よくわかっていません。西之島のニシノシマホウキガニたちは、発見された直後に、見つからなくなってしまったからです。
 一九七三年に始まった、西之島の火山活動も、活発でした。ニシノシマホウキガニの生息域は、火山からの噴出物などで、埋もれてしまったのですね。
 ところが、一九九三年になって、別の海域で、ニシノシマホウキガニが発見されました。トカラ列島の悪石島と、硫黄列島の北硫黄島です。さらに、二〇一三年には、伊豆大島沖でも、発見されました。なぜ、こんなに飛び離れた分布なのでしょうか?
 ニシノシマホウキガニの発見された海域には、共通点があります。みな、海底火山がある点です。カニたちは、火山のために、海底に温泉が湧いている岩場にいます。
 どうやら、ニシノシマホウキガニは、温泉が湧いた海底にしか、棲めないようです。どうやって、海底温泉を見つけて、分布を広げているのかは、わかっていません。
 西之島のニシノシマホウキガニは、一九八〇年代以降、見つかっていません。今回の噴火で、再び、ニシノシマホウキガニが戻ってくるかどうか、注目されています。

 過去の記事でも、カニの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
寄生虫に寄生する生き物がいる?(2013/7/8)
平家の怨霊が、ヘイケガニになった?(2012/6/4)
宿主をあやつる、フクロムシの驚異(2011/10/17)
イソガニとイワガニ、どっちがどっち?(2009/8/21)
シオマネキは、潮を招く?(2009/6/1)
などです。

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このページは、松沢千鶴が2015年7月10日 07:05に書いたブログ記事です。

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