303 生物の基礎知識の最近のブログ記事

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 以前、このブログで、生物の分類について、説明しましたね(生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(09/08/12))。今回は、その時、説明しきれなかった部分を説明しましょう。
 生物を調べていると、時おり、亜目【あもく】や亜科【あか】といった分類単位が出てきます。下目【かもく】、上目【じょうもく】、上科【じょうか】などが、出てくることもあります。これらは、どういう分類単位でしょうか? 
 まず、「亜」を説明しましょう。例えば、亜目といった場合、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含むグループ」です。要するに、「一つ下の分類単位より、少しだけ大きい分類単位」に、「亜」が付くと思って下さい。
 次に、「下」です。例えば、「下目」は、「目【もく】を分けるほどの差はないけれど、複数の科を含んでいて、亜目より小さいグループ」です。大きさ順に並べれば、亜目>下目です。「亜」と「下」は、紛らわしいですね。正直に言えば、私も、「亜」と「下」の差は、よくわかりません(笑)
 では、「上」は? 例えば「上科」といった場合は、「複数の科をまとめたグループで、目【もく】を分けるほどの差がないもの」です。
 これだと、一つ上の分類単位と、重なりそうですね。例えば、「上科」と「下目」があったら、どちらが大きいグループでしょうか?
 答えは、「下目のほうが、上科より大きい」です。実例を挙げてみましょう。
 セミエビというエビの一種がいます。この種の分類を、詳しく書くとこうなります。

節足動物門【せっそくどうぶつもん】
甲殻亜門【こうかくあもん】
軟甲綱【なんこうこう】
真軟甲亜綱【しんなんこうあこう】
ホンエビ上目【じょうもく】
十脚目【じっきゃくもく】
抱卵亜目【ほうらんあもく】
イセエビ下目【かもく】
イセエビ上科【じょうか】
セミエビ科
セミエビ亜科【あか】
セミエビ属
 セミエビ

 こんなややこしい分類なのは、節足動物門に、たいへん多様な種が含まれるためです。落語の『寿限無【じゅげむ】』みたいですね(笑)
図鑑には、例に挙げたセミエビが掲載されています。是非、ご利用下さい。

過去の記事でも、生物の分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名で分類がわかるって、本当?(20009/08/17)
チョウ(蝶)はチョウ目【もく】? 鱗翅目【りんしもく】?(2008/07/22)
ホヤは脊索【せきさく】動物? 原索【げんさく】動物?(2007/08/28)
などです。

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 これまで、このブログで、生物の学名について、書いてきました。ラテン語の学名を知れば、生き物がより面白くなるとわかってくださったでしょうか。
 ところが、学名を知ると、困った事態に遭うこともあります。よくあるのが、「同じ種なのに、本やウェブサイトによって学名が違う」ことです。
 これは、どういうことでしょうか? 一つの種に、二つ以上の学名が付くことがあるのでしょうか? 「あるけれど、それは本来は間違いだ」というのが答えです。
 どのような場合に、そんな間違いが起こるのでしょうか? おおむね、以下のような事態が考えられます。
 第一に、「種の分類が変わった場合」です。種の分類が変わることはよくあります。特に、属の分類などは、ひんぱんに変わります。(生物の分類法については、生物分類の、目【もく】や科とは、なに?(2009/08/12)をお読み下さい。)
 属が変われば、学名も変わりますね。学名の一部に、属名が含まれるからです。「学名で分類がわかるって、本当?」に書いたとおりです。
 けれども、変わる前の学名が、本やウェブサイトに残ってしまうことがあります。そうすると、「一つの種に、複数の学名」になるわけです。
 第二は、「研究者によって、学説が違う場合」です。ある種について、ある研究者が、「A属に属する」と考えているとします。すると、学名は「A 何とか」ですね。でも、別の研究者が、同じ種を「B属に属する」としていたら、学名は「B 何とか」になります。
 第一の事態と第二の事態は、入り混じることも多いです。実例を挙げてみましょう。
 サワギク(沢菊)という植物があります。この種には、「キオン属に属する」説と、「サワギク属に属する」説とがあります。以前は、「キオン属」説が有力でした。最近は、「キオン属から、サワギク属を分けたほうが良いのではないか」といわれます。
 サワギクをキオン属とする場合、学名は、Senecio nikoensisです。サワギク属とする場合は、Nemosenecio nikoensisです。どちらが正しいかは、決着していません。
図鑑には、例に挙げたサワギクが掲載されています。是非、ご利用下さい。

過去の記事でも、生物の学名や、分類について、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名の正しい読み方は?(2008/08/19)
学名で分類がわかるって、本当?(2009/08/17)
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07)
などです。

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 生物の学名は、必ずラテン語で付けられると、前にお話ししましたね(学名と標準和名とは、違う? 同じ?)。ラテン語の学名は、どのように読むのが、正しいのでしょうか?
 じつは、「正しい学名の読み方」というものは、ありません。学名をどのように読むのかは、決められていないのです。
 そもそも、ラテン語の読み方自体が、確定していません。同じラテン語でも、時代により、読み方が違います。同じ日本語の文章でも、平安時代と現代とでは、発音が違うようなものですね。どこの時代の読み方が正しい、とは言えません。
 とはいえ、現実問題として発音できないのは困りますね。ラテン語の読み方は、おおむね、ローマ字発音です。日本人なら、ラテン語のアルファベットをローマ字式に読んでいいと思います。
 世界的には、どのように読まれているのでしょうか? 現代では、英語が国際的な標準語になっていますね。そのため、英語式に発音されることが多いです。
 実例を挙げてみましょう。植物のヤマノイモの学名は『 Dioscorea japonica 』です。古典ラテン語ふうに読むと『ディオスコレア・ヤポニカ』となります。英語ふうに読むと『ダイオスコリア・ジャポニカ』です。
 国際会議などの場では、英語ふうに発音したほうが通じやすいでしょう。けれども、それが絶対的に正しいわけではありません。例えば、ドイツの方はドイツ語ふうに、フランスの方はフランス語ふうに、堂々と発音しています。
 学名は、人名や地名から付けられることが多いです。そのような場合「本来の人名や地名と同じ発音にすべきだ」という主張があります。
 しかし、現実には、それは無理でしょう。世界には、たくさんの言語があるからです。すべての言語について、正確に発音できる人などいませんよね。
 日本人が、学名をローマ字発音するのは、恥ずかしくありません。そのかわり、日本語由来の学名を、英語ふうに読まれても許してあげましょう(笑)


過去の記事でも、学名について取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
学名と標準和名とは、違う? 同じ?(2009/08/07)
トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
新しい名前で出ています―魚類の改名(2007/2/2)
学名ってなんですか?(2005/9/30)
などです。

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