生き物のニュースは、新聞や、テレビや、インターネットで、よく、目にしますね。それらを見て、夏休みの自由研究などのヒントにする人も、多いでしょう。
ところが、ニュースは、常に正確とは、限りません。中には、とんでもない間違いもあります。しかも、訂正のニュースが出されることは、少ないです。
今回は、「海外の生き物のニュース」が、正しいかどうか、見分ける方法を、紹介しますね。ただし、この方法は、小学生や中学生がやるのは、難しいです。大人【おとな】でも、ちょっと難しいです。でも、高校生以上なら、「挑戦する価値がある」と思います。
その方法とは、「英語のニュースを読む」ことです。例を挙げて、説明しましょう。
二〇〇七年の十二月に、インドネシアのパプア州で、新種の哺乳類が発見されました。この時、発見された新種は、二種でした。そのうちの一種について、報道が、不正確でした。それは、ネズミの一種です。齧歯目【げっしもく】ネズミ科に属する種です。
私の知る限り、日本語のニュースでは、すべて、この種を、『オニネズミの一種』としていました。けれども、本当は、違います。「ニューギニアオニネズミの一種」です。
ややこしいことに、ネズミの仲間(齧歯目)には、「オニネズミ」と付くグループが、いくつかいます。アフリカオニネズミ、オニネズミ、ニューギニアオニネズミ、チビオオニネズミ、フロレスオニネズミなどです。これらは、それぞれ、違うグループです。
英語のニュースを読むと、正確なことがわかります。英語では、新種は、「Mallomys giant rat(Mallomys属の巨大なネズミ)」と書かれています。Mallomysとは、国際的に通じる学名です。学名はラテン語ですが、英語でも、そのまま使われることが多いです。
Mallomysを、正しく日本語に訳せば、「ニューギニアオニネズミ(属)」となります。例えば、普通の「オニネズミ(属)」なら、学名はBandicotaです。全然、違いますよね。日本語では紛らわしくても、英語のニュースを確認すれば、違いは、一目瞭然です。
海外のニュースの場合、翻訳の誤りが、よくあります。できれば、英語の「元ニュース」に当たってみましょう。英語と生物学と、両方の勉強になります。
新種のニューギニアオニネズミのニュースは、以下のページにあります。よろしければ、日本語のページと、英語のページとを、読み比べてみて下さい。
"ロストワールド"インドネシアのフォジャ山脈で再び大きな発見(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 2007/12/17)※日本語の記事です。
インドネシアの"ロストワールド"で、二つの新種が発見される(AFP 2007/12/16)※英語の記事です。
過去の記事でも、ニューギニアオニネズミ(Mallomys)発見時の様子を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
インドネシアのパプアで、新種の哺乳類を発見(2007/12/19)
『ネットで、知りたいことを上手に知るには?』のシリーズを、過去の記事で、連載しています。過去の記事では、初歩的なことから、解説しています。よろしければ、以下のシリーズ記事もお読み下さい。
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その1(2007/07/18)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その2(2007/07/21)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その3(2007/07/24)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その4(2007/07/26)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その5(2007/07/28)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その6(2007/07/31)
トンビやオケラは、存在しない? 生き物の名前の話(2008/04/11)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? 番外編(2008/04/14)
図鑑には動物・植物約1,800種が掲載されています。ぜひご利用下さい。
ネットの上手な活用法の最近のブログ記事
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以前、ネットの上手な活用法の話を、六回にわたって、お送りしましたね。(「ネットで、知りたいことを上手に知るには?その1」から「その6」)
今回は、その番外編をお届けします。ネットの情報の見きわめ方です。
ネットの世界は、移り変わりが速いですね。日々、新しい情報が、載せられています。
だからといって、常に、最新の情報があるとは、限りません。ずっと以前に書かれた情報が、そのままあることが、珍しくありません。
時間が経てば、状況は変わりますね。書かれた時点では正しくても、後に、正しくなくなることがあります。そうなっても、修正されない情報が、多いです。
最新の情報を、常に追い続けるのは、大変なことです。現代は、どんどん新しい情報が、現われますからね。一人の人間が、追いきれるものではありません。
ネットで情報を発信する人(送り手)に、すべての責任をかぶせるのは、酷ですね。現実問題として、無理です。受信する人(受け手)のほうが、「正しいか、正しくないか」判断するしかありません。
どうやったら、そのような判断ができるでしょう? 二つの方法があります。
一つは、「情報の日時を確かめること」です。できるだけ、新しい情報を入手しましょう。新しく書かれたものは、最新の情報である可能性が高いです。
ただし、例外もあることを、忘れてはいけません。「書かれたのが新しくても、内容が古い」ことが、よくあります。
もう一つは、「複数の源【みなもと】から、情報を得ること」です。一つの源からの情報を、鵜呑【うの】みにするのは危険です。発信者が勘違いしていたり、悪意を持っていたりしたら、誤った情報を、信じてしまうことになります。
二つ以上の源から、情報を得れば、内容を比較できますよね。みな同じ内容なら、「ほぼ正しい」と判断できます。食い違いが激しければ、「正しくない可能性が高い」となります。
ネットの書き手として、私も、正しい情報を得るよう、努力します。
過去の記事でも、ネットの上手な活用法を紹介しています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その1(2007/07/18)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その2(2007/07/21)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その3(2007/07/24)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その4(2007/07/26)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その5(2007/07/28)
ネットで、知りたいことを上手に知るには? その6(2007/07/31)
図鑑には、動物・植物約1,800種が掲載されています。ぜひご利用下さい。
生き物について調べる時、皆さんは、どうやって調べますか?
最近は、ネットで調べる人が多いでしょうね。けれども、ネットの情報は、不正確なことも多いです。昔ながらに、本の図鑑や事典で調べる人も、多いでしょう。
ところが、図鑑などで調べると、困ることがあります。「調べたい生き物が、見つからない」ことです。「図鑑などに、載っているのに、見つからない」ことが、よくあります。
例えば、トンビという鳥がいますね。日本では、とても平凡な鳥です。なのに、普通の鳥類の図鑑で、「トンビ」を探しても、見つかりません。
また、オケラと呼ばれる昆虫がいます。昔から、日本人に親しまれた虫です。が、昆虫図鑑で「オケラ」を探しても、見つからないことが多いです。
こうなる原因は、「生き物の名前」にあります。「トンビ」も、「オケラ」も、正式な名前ではありません。通称です。そのために、普通の図鑑には、載っていないのです。
生き物を調べるには、その生き物の「正式な名前」を知るのが、重要です。
でも、普通の人は、そんなことに詳しくありませんよね。詳しくないからこそ、調べたいはずです。どうしたら、調べられるでしょう?
最近では、名前以外で調べられる図鑑などが、登場しています。棲む場所、体の色、現われる季節などで、調べられます。そのようなものを利用すれば、便利ですね。
通称と、正式な名前が違うのは、不便に感じるでしょう。これには、それなりの理由があります。通称は、広い地域に通じないからです。ある地方の通称が、他の地方で、通じるとは限りません。これでは、違う地方の人同士が、話をするのにも困りますね。
日本の生き物には、標準和名【ひょうじゅんわめい】という名前が、付けられています。日本で、生き物の「正式な名前」といえば、標準和名のことです。前記の例でいえば、トンビの標準和名は「トビ」、オケラの標準和名は「ケラ」となっています。
名前で生き物を調べるには、注意が必要ですね。知っている名が、標準和名とは限りません。名前だけで調べないで、他のやり方でも、調べてみましょう。
過去の記事でも、生き物の名前について、取り上げています。また、「トンビ」や「オケラ」も取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
新しい名前で出ています――魚類の改名(2007/02/02)
差別語を含む生き物の名は、改名すべき?(2007/01/09)
トンビは猛禽【もうきん】か?(2006/11/17)
ヨシとアシは同じもの?(2006/09/08)
一文無しどころか万能昆虫のオケラ(2006/03/24)
学名ってなんですか?(2005/09/30)
などです。
図鑑には、名前以外の方法でも、生き物を検索することができます。ぜひご利用下さい。